※この記事は、助産師が執筆しました。
ケース1:妊娠したばかりなのに……出血?!

<エピソード>
「トイレットペーパーで拭いたら、少量の赤い出血がありました。インターネットで調べると『流産の徴候』などの言葉がでてきて、不安になってしまって……」
と相談がありました。
お腹の違和感はあるけれど、腹痛はありません。
後日受診したところ、妊娠経過は問題ありませんでした。
<助産師談|知っておくと安心なこと>
妊娠初期は、赤ちゃんの心拍が確認できたばかりの頃でも、少量の出血がみられることがあります。
これは、着床の影響やちょっとした刺激によって、子宮の入り口から出血することがあるためで、実は珍しいことではありません。
妊娠初期は、喜びと同時に不安も大きくなりやすい時期。だからこそ、ネット検索で強い言葉を目にすると、必要以上に心配になってしまいますよね。
「妊娠初期にはこうした出血が起こることもある」と知っておくだけでも、産婦人科を受診するまでの心の揺れが少し和らぐかもしれません。
ケース2:胎動がない?お腹が張り?赤ちゃん大丈夫?

<エピソード>
「日中バタバタしていて、お腹をあまり気にしていなかったのですが、そういえば赤ちゃんがしばらく動いていない気がして……。お腹もずっと張っているような気がします。
ネットで検索すると、『胎動がないのは危険』や『切迫早産』『常位胎盤早期剥離』などの言葉がでてきて不安になってしまって…」
と相談がありました。
その後、少し横になって休んだところ、お腹の張りも落ち着き、胎動も感じられたとのことでした。
<助産師談|知っておくと安心なこと>
妊娠中期は子宮が大きくなる時期で、重たさやつっぱり感を「張り」と感じることがあります。
こうした感覚は、体の変化によるものであることも少なくありません。
また、お腹の赤ちゃんは約20分ほどのサイクルで寝たり起きたりを繰り返しています。
寝ている間は動きが少なく、胎動を感じ始めたばかりの頃は、動いていても気づきにくいこともあります。
そのため、「しばらく動かない=すぐに異常」とは限らないのです。
<注意したいサイン>
一方で、切迫早産が疑われる場合には、次のような特徴があります。
・張りに「波」があり、規則的に続く
・張るタイミングで下腹部痛を感じる
・出血を伴うことがある
このように、注意が必要な張りの特徴を知っておくことで、不安なときも落ち着いた判断ができるようになります。
これらのサインがある場合は、無理に様子を見ず、早めに医療機関へ相談しましょう。
ケース3:むくみが気になる…妊娠高血圧症候群かも?

<エピソード>
「最近よくむくむのですけど、大丈夫でしょうか?」という相談はとても多くあります。
ある妊婦さんも「夕方になると足首や足の甲がパンパン。低反発枕みたいになるんです。検索したら『妊娠高血圧症候群』や『腎臓の病気』などの言葉がでてきて、不安で……」と来院されました。
診察の結果、血圧も尿検査に異常はなく、「たまたまむくみやすいむくみやすい時期に入っただけ」という結果でした。
<助産師談|知っておくと安心なこと>
妊娠後期は子宮が大きくなることで血流が滞りやすく、さらに活動量が減るため、むくみ(浮腫)が出やすくなります。むくみは多くの妊婦さんが経験するよくある変化のひとつです。
そのため、「むくみ=すぐに病気」というわけではありませんが、次のような症状を伴う場合は、注意が必要です。
<不安をやわらげるポイント>
むくみが気になるときは、足を少し高くして休み、横になって体をいたわるだけでも楽になることがあります。
「むくみ=病気」と決めつけるのではなく、体が変化に対応しているサインとして受け止めることも、不安をやわらげる一歩になります。
<注意したいサイン>
ただし次のような場合は、安易にとらえたり無理に様子を見たりせず、医療機関に相談しましょう。
・急に全身がむくみ、体重が増えてきた
・顔(特にまぶた)がむくむ
・頭痛や吐き気を伴う
ケース4:軽い腹痛……切迫早産?

<エピソード>
「ずっと下腹部に違和感があって波があるわけではないのですが。検索すると『切迫早産』や『子宮頸管が短い』って書いてあって不安で……」と電話相談がありました。
念のため受診していただいたところ、子宮頸管の長さも十分あり、赤ちゃんも元気で問題ありませんでした。
<助産師談|知っておくと安心なこと>
妊娠中は、子宮が大きくなるにつれて靭帯が引っ張られたり、腸の位置や動きが変わったりすることで、生理的な痛みや違和感が出ることがあります。
また、妊娠中は便秘になりやすいため、腸の張りが「痛み」として感じられることも少なくありません。
そのため、軽い腹痛のすべてが異常とは限らないのです。
<不安をやわらげるポイント>
妊娠中に軽い腹痛や違和感が出ることは、決して珍しいことではありません。
まずは体勢を変えたり、少し休んで様子を見たりすることで、落ち着くケースも多くあります。
「痛い=危険」と、すぐに結びつけるのではなく、体の変化をゆっくり観察してみることが、不安と上手につきあうコツです。
<注意したいサイン>
一方で、次のような症状がある場合は注意が必要です。
・痛みに規則性がある(波のように繰り返す)
・痛みがだんだん強くなる
・出血を伴う
このような場合は、切迫早産の可能性もあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。
ケース5:鎮痛薬を飲んでしまった……赤ちゃん大丈夫?

<エピソード>
仕事中、頭痛に耐えられず、妊娠前から使っていた鎮痛薬をつい飲んでしまったという妊婦さん。その後、ネットで調べると「妊娠中の鎮痛薬は赤ちゃんによくない」といった情報を目にし、不安になって相談したとのこと。
医師に確認したところ、「一度飲んだ程度なら問題ないことが多いですよ」との説明があり、妊婦さんもほっとされていました。
<助産師談|知っておくと安心なこと>
妊娠中はホルモンバランスの影響で頭痛が起こりやすく、これまでの習慣で、うっかり薬を飲んでしまうケースも少なくありません。
薬には、妊娠中に使用できるものと、避けた方がよいものがありますが、1度服用しただけで赤ちゃんに影響が出るケースは多くありません。
まずは過度に自分を責めず、落ち着いて対応することが大切です。
<不安なときに相談するポイント>
妊娠中の薬について不安がある場合は、次の点を整理して医に相談するとよいでしょう。
・薬の名前
・服用した量や回数
・服用したタイミング(妊娠何週頃か)
・妊娠中でも継続した方がよい薬かどうか(持病の薬の場合)
・1日何回まで飲んでもよいか(頭痛薬などの頓服の場合)
必要な情報を整理して伝えることで、より適切な指示を受けることができます。
ネット検索に振り回されないために

インターネット検索は便利ですが、「最悪のケースが目に入りやすい」という特徴があります。
さらに、検索結果はあくまで一般的な情報であり、あなた自身の状況を正確に判断できるものではありません。
不安が強くなったときは、いったんスマートフォンから離れて深呼吸をしてみてください。
そして、気になることがあるときは、どうか遠慮せずかかりつけの医師に相談しましょう。
夜間や休日は連絡をためらってしまうかもしれませんが、多くの産院は24時間電話がつながる体制を整えています。
受診が必要かどうかは病院側が判断してくれますし、診察が不要な場合でも、話を聞いてもらうだけで気持ちが落ち着くこともあります。
妊娠中は不安を感じやすい時期ですが、それはとても自然なことです。
妊娠期間を穏やかに過ごせるように、不安をひとりで抱え込まないでくださいね
※本記事は専門家による執筆ですが、医学的診断が目的ではなく、あくまで一般的な見解です。個人の体質や状況、生活習慣などによって判断は異なりますので、最終的な判断はご自身の責任で確認願います。
◇執筆:内田よしえ(助産師・看護師・保健師)
【内田よしえ のプロフィール】
2人の子どもを育てながら助産師(11年目)をしています。助産師をしながら様々なジャンルの記事を執筆しています。
◇記事の編集/(salvia編集部)
※記事内の画像はイメージです。
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