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妊娠中に使える湿布薬3選!貼ってはダメな成分は?【薬剤師が回答】

肩こりや腰痛に悩みやすい妊娠中。「湿布なら大丈夫でしょ?」と誤解している妊婦さんもいますが、飲み薬だけでなく湿布薬の成分にも注意が必要です。そこで、ロキソニン系の湿布やサロンパスなどの使用可否や、使えるOTCの湿布を薬剤師が紹介します。

目次
「湿布=安全」は誤解!
妊婦が「貼ってはいけない」湿布の成分
ロキソプロフェンナトリウム水和物
ジクロフェナクナトリウム
ケトプロフェン
インドメタシン
フェルビナク
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む湿布薬の見分け方
医療用医薬品(処方で出される薬)も把握しよう
塗り薬も注意
母体や赤ちゃんへの影響
妊娠初期(0~13週)に湿布を使った場合の影響
妊娠中期(14〜27週)に湿布を使った場合の影響
妊娠後期(28週~)に湿布を使った場合の影響
妊娠中でも使いやすい湿布・外用薬【薬剤師おすすめ】
薬局やドラッグストアで買える湿布薬
病院でもらう湿布薬
湿布薬も「医薬品」!自己判断ははNG

※この記事は編集部の構成のもと、薬剤師が執筆しました。

※記事内容の補足として実際に市販されている商品をピックアップしており、画像の一部に広告を活用しています。

「湿布=安全」は誤解!

湿布を腰に貼る女性

画像:湿布を腰に貼る女性(photo AC)

「飲み薬は赤ちゃんに影響しそうで怖いけれど、湿布なら安心」——そう考える妊婦さんもいるでしょう。

しかし実はその考え、大きな誤解です。

湿布薬の有効成分は皮膚の表面にとどまるのではなく、皮膚から吸収されて血液を通り、全身に作用します。

つまり、湿布も飲み薬と同じように体の中に影響を与えるのです。

特に妊娠中は、母体の血液を通じて胎児にも薬の成分が届く可能性があります。

「お腹に貼らなければ大丈夫」「肩や腰、脚なら問題ない」と思ってしまいがちですが、貼る部位に関わらず全身に薬の成分が作用するため、妊娠中の湿布使用には注意が必要です。

妊婦が「貼ってはいけない」湿布の成分

妊娠中には、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれる湿布を避けましょう。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は痛みや炎症を抑える成分です。

痛みや炎症の原因となる「プロスタグランジン」を抑えることで、鎮痛・解熱・抗炎症効果を発揮します。

飲み薬だけでなく湿布薬にも多く使われていますが、妊娠中に使用すると胎児や母体に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

ここではNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の代表的な4つの成分をご紹介。さらに妊婦さんが使用を避けるべきOTC医薬品/市販薬(※1)の湿布薬をお伝えします。

(※1)「OTC医薬品」とは、薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のこと。医師の処方箋なしでも買える市販薬です。

ロキソプロフェンナトリウム水和物

ロキソニンEX

画像:妊娠中の使用は避けるべきロキソニンEXテープ(撮影:salvia writer)

使用NGとする湿布薬(市販)の例:ロキソニンSテープ、ロキソニンEXテープ、ロキソニンSパップ、ロイヒ膏ロキソプロフェン

ロキソプロフェンナトリウム水和物は、鎮痛、抗炎症効果を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種です。

胃腸障害などの副作用が起こりにくいことが特徴ですが、妊娠後期に使用すると胎児の動脈管収縮(※2)を引き起こすことが報告されています。[参考文献1]

そのため、医師の指示なしでの使用は避けましょう。

(※2)胎児の動脈管収縮とは、胎児期に存在する大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が、出生後に自然に閉じる現象です。動脈管は、胎児の血液循環に欠かせない重要な血管で、これが早期に閉じてしまうと胎児の心臓や肺に負担がかかる可能性があります。

ジクロフェナクナトリウム

使用NGとする湿布薬(市販)の例:ボルタレンEXテープ、ジクロフィット

ジクロフェナクナトリウムは鎮痛作用が強く、関節など炎症部位に届きやすい成分です。

厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)の情報によると、妊娠中の使用で胎児の循環器系や腎機能に影響を及ぼす可能性が懸念されています。

また、妊娠中期以降は、胎児の動脈管収縮を引き起こすことの報告もされているため、医師の明確な指示がない限り使用しないようにしましょう。

ケトプロフェン

ケトプロフェンパップ湿布

画像:妊娠中の使用は避けるべきケトプロフェンパップ

使用NGとする湿布薬(市販)の例:オムニードケトプロフェンパップ

ケトプロフェンもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種で、皮膚からの吸収率が高く、長時間作用するという特徴のある成分です。

妊娠後期に使用すると、胎児動脈管収縮を起こすことがあるため、2014年に厚生労働省が『ケトプロフェンを含む湿布薬を妊娠後期に使用禁忌とする改訂』を行いました。

また、ケトプロフェンは光線過敏症(貼った部分に紫外線が当たると炎症が起きる病気)を起こすことがあるため、注意が必要です。

インドメタシン

湿布パステルシップID1.0

画像:妊娠中の使用は避けるべきパステルシップID1.0%

使用NGとする湿布薬(市販)の例:サロンシップインドメタシンEX、パステルシップID1.0%、サロンパスEX温感

インドメタシンもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種で、強い鎮痛、抗炎症効果を持つ成分として古くから使用されています。

インドメタシンも妊娠中に使用すると胎児の動脈管閉鎖や羊水量の減少、腎機能への影響が報告されています。これらのリスクを避けるためにも、妊娠中の自己判断での湿布使用は避けましょう。

 

フェルビナク

妊娠中の使用は避けるべきフェイタス5.0、オムニードフェルビナク

画像:妊娠中の使用は避けるべきフェイタス5.0、オムニードフェルビナク(撮影/salvia writer)

使用NGとする湿布薬(市販)の例:フェイタス5.0、オムニードプラスターα、リフェンダFBテープα、ビーエスバンFRテープVα

フェルビナクを主成分とする湿布は多く販売されています。鎮痛、抗炎症効果は優れていますが、こちらもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種です。

妊娠中の使用に関して安全性が確保されていないため、自己判断での湿布使用は避けましょう。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む湿布薬の見分け方

NSAIDsの湿布見分けるには、薬のパッケージや説明書に記載してある「有効成分」をチェックしましょう。

市販の湿布薬で使用されているNSAIDsは、主に以下の通りです。

・ロキソプロフェンナトリウム水和物

・ジクロフェナクナトリウム

・ケトプロフェン

・インドメタシン

・フェルビナク

上記で紹介したこれらの成分名が書かれている湿布は、妊娠中の使用はNGと考えましょう。

ただし、内服薬に使用されているNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)はこの限りではありません。

必要があれば医師や薬剤師に相談しましょう。

医療用医薬品(処方で出される薬)も把握しよう

ケトプロフェンテープ

画像:妊娠中の使用は避けるべき「ケトプロフェンテープ」(撮影:salvia writer)

妊婦さんの中には、家にあった湿布薬を貼ろうと考える人もいるかもしれませんが、注意が必要です。

もし、自宅に処方薬の湿布薬やがあったとしても、それは妊婦さん用に出された貼付剤でなければ使用するのは危険です。

使用NGとする湿布薬(市販)の一例:ロキソプロフェンNaテープ、モーラステープ、ロコアテープ、イドメシンパップ、ケトプロフェンテープ

なお、病院でもらう湿布薬は、後発医薬品(ジェネリック)であれば、製品名に「ロキソプロフェンNaテープ」「ケトプロフェンテープ」というように、成分名が入っています。

ロキソプロフェンna湿布薬

画像:妊娠中の使用は避けるべき「ロキソプロフェンNaテープ」(撮影:salvia writer)

一方で、先発医薬品は「ロキソニンテープ」「モーラステープ」「ロコアテープ」「イドメシンパップ」など、成分名が分かりにくいこともありますが、これらも妊娠中は使用しないでください。

このように、安易に「医師が処方してくれたものだから大丈夫」と思うのはNGです。自宅にある湿布薬を妊娠中に自己判断で使用するのは危険であることを覚えておきましょう。

塗り薬も注意

バンテリンEX

画像:フェルビナクスチック(左)、バンテリンコーワ(右)(撮影/salvia writer)

痛み止めの塗り薬の成分も、湿布薬と同様に皮膚から吸収され、血中を通じて全身に作用します。

そのため、有効成分を確認してNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれていれば、使用を控えてください。

(例)使用NGとする塗り薬の一例

・バンテリンコーワ液α(有効成分はインドメタシン)

・ゼノールエクサムSX(有効成分はフェルビナク)

母体や赤ちゃんへの影響

妊婦検診

画像:腹部に聴診器を当てた様子(photo AC)

妊娠中に湿布を使ってしまった場合の影響は妊娠の時期によって異なります。

以下で、妊娠初期、中期、後期のそれぞれの薬の影響の仕方を解説します。

妊娠初期(0~13週)に湿布を使った場合の影響

妊娠初期は、赤ちゃんの主要な器官(神経・心臓・消化器官・手足など)が形成される大切な時期です。

この期間に薬の影響を受けると、形態異常(身体の構造や形に異常がある状態)が起こる可能性があります。

その一方で、薬が原因の先天異常(出生前の段階で生じた身体的な異常)は、全先天異常のわずか1~2%であると考えられています。薬を使用したからといって必ず影響があるとは言えませんが、妊娠中でも安全とされる薬を使いましょう。

妊娠初期には、妊娠に気付かずに湿布を貼ってしまったというケースもあるでしょう。短期間貼ってしまった程度で過度に心配する必要はありませんが、気になる場合は医師に相談してください。

妊娠中期(14〜27週)に湿布を使った場合の影響

妊娠中期では胎盤が完成し、薬の成分の一部が胎盤を通じて胎児へ届くようになります。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用すると、胎児動脈管収縮や腎機能障害及び尿量減少、羊水過少症が起きたとの報告があるため、使用しないようにしましょう。[参考文献2]

痛みが強い場合は自己判断で市販薬を使わず、産婦人科で相談のうえ処方してもらうことをおすすめします。

妊娠後期(28週~)に湿布を使った場合の影響

妊娠後期はお腹も大きくなり、腰痛などの痛みも出やすい時期です。しかし、妊娠後期の湿布の使用は最も注意が必要です。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の湿布による胎児動脈管収縮のリスクがあるため、自己判断で使用してはいけません。特に、ケトプロフェンの湿布は「妊娠後期には使用してはいけない」薬となっています。貼ってしまった場合はすぐに剥がし、医師に相談しましょう。

妊娠中でも使いやすい湿布・外用薬【薬剤師おすすめ】

「湿布は使っちゃダメ」と言われると、肩こりや腰痛がつらいとき、どうしたらいいのか困ってしまいますよね。

しかし、すべての湿布薬が危険というわけではありません。

ここでは薬剤師の視点から、妊婦さんが比較的安全に使いやすい市販の湿布薬や、病院で処方される湿布をご紹介します。

薬局やドラッグストアで買える湿布薬

妊娠中に比較的安全とされるのは、サリチル酸メチルやサリチル酸グリコールを主成分とする湿布薬です。ただし、これらの成分も血液中に吸収されるため、頻繁に使ったり長時間貼るのは避けましょう。

おすすめは以下のような製品です。

サロンパスシリーズ(サロンパス、サロンパスAe、サロンパス30など)

★【第3類医薬品】サロンパス30 (40枚)

サロンパスシリーズの主成分はサリチル酸メチルやサリチル酸グリコールです。これらの成分には、末梢神経の感覚を鈍らせて痛みを和らげる効果と、末梢血管を広げて血流を良くする働きがあります。胎児への悪影響は認められておらず、妊娠中でも比較的安全に使用できると考えられています。

サリチル酸メチルには独特な匂いがある一方で、サリチル酸グリコールは匂いが少ないという特徴があります。「湿布の匂いが苦手」という方は、サリチル酸グリコールが配合されている「サロンパス30」がおすすめですよ。

ただし、「サロンパスEX」「サロンパスEX温感」にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)であるインドメタシンが配合されているため、使用しないように注意しましょう。

のびのびサロンシップフィットシリーズ(のびのびサロンシップフィット、のびのびサロンシップフィットH、のびのびサロンシップフィットαなど)

◆【第3類医薬品】のびのびサロンシップフィット 10枚【セルフメディケーション税制対象商品】
のびのびサロンシップフィットシリーズはサリチル酸グリコールを主成分としています。妊娠中でも比較的安全な成分で匂いも少ないため、使いやすいでしょう。

冷感タイプはl-メントールが配合されており、スーッとした感覚があります。冷感湿布が苦手な方や、冬場湿布による冷えが気になるという方は、温感タイプがおすすめですよ。

一方で、「のびのびサロンシップフィットEX」にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)であるインドメタシンが配合されているため、注意が必要です。

トクホンシリーズ(トクホン、トクホンE、トクホンエースなど)

【大正製薬】トクホンE 120枚【第3類医薬品】
トクホンはサリチル酸メチルを主成分とした湿布薬です。また、トクホンやトクホンエースは、サリチル酸メチルのほかに血行を促進するビタミンE酢酸エステルを配合しており、妊娠中の痛みに使用できます。

病院でもらう湿布薬

妊娠中でも肩こりや腰痛の症状が強い場合は、産婦人科で湿布を処方してもらえることがあります。

妊娠中に病院で処方されることが多い湿布は、以下の2種類です。

  • MS温シップ

  • MS冷シップ

どちらも主成分はサリチル酸メチルで、作用がマイルドです。

妊娠中でも比較的安全に使用できますが、これらの湿布の処方においては、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」とされています。使用の際は必ず医師や薬剤師の指導に従いましょう。

湿布薬も「医薬品」!自己判断ははNG

肩こり腰痛に苦しむ女性

画像:肩こり腰痛に苦しむ(photo AC)

湿布薬は外用薬でも立派な医薬品です。自己判断で湿布を使用した場合、胎児に影響を及ぼす可能性があります。

特に、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が配合されている湿布薬は胎児の形成異常を起こすおそれがあるため、妊娠の時期に関わらず使用は控えましょう。

しかし、妊娠中は肩こりや腰痛など体の不調を感じやすいもの。痛みを我慢せずに、まず医師や薬剤師に相談しましょう。妊娠中でも産婦人科で湿布薬や飲み薬を処方してもらえることもありますよ。

また、体の痛みは、体操・ストレッチ・温めケア・姿勢の見直しなどでも軽減できることがあります。妊娠期の体は想像以上にデリケートです。「市販の湿布だから大丈夫」と自己判断で使用せず、薬剤師や医師に相談することが、赤ちゃんと自分を守るいちばんの近道です。

参考文献

[1] 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会|産婦人科診療ガイドラインー産科編2014

[2] 厚生労働省|「使用上の注意」の改訂について

※本記事は専門家による執筆ですが、あくまで一般的な見解です。個人の体質や生活習慣などによって推奨の可否が異なりますので、最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。


◇記事の構成・編集/(salvia編集部)

◇執筆:渡辺ユリ/薬剤師(クリニック門前薬局・面薬局勤務、OTC販売)

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