※この記事は管理栄養士が執筆しました。
大葉が食中毒の対策に良い理由

大葉は、刺身の付け合わせや薬味として使用されますが、その理由のひとつに「食中毒予防」といった重要な役割があります。
大葉に含まれる香り成分のペリルアルデヒドには、強力な抗菌作用があります。サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌などの食中毒菌の増殖を抑える働きが確認されています。
また、大葉にはポリフェノールによる抗酸化作用や、リモネンと呼ばれる抗菌成分も含まれており、相乗的に食品の鮮度保持に役立ちます。
さらに、お弁当の仕切りに使用されることが多いレタスに比べて、大葉は水分が少ないのもポイント。細菌が繁殖しにくい環境を作りやすい特徴があります。
大葉は単なる香りづけ以上に、解毒や利尿作用、胃腸の調子を整える働きも期待できるため、食中毒対策として理にかなった食材といえるでしょう。
大葉はお弁当の仕切りに使うだけでも違う!

仕切りに使う方法・ルールはあるの?
大葉をお弁当に入れるときは、きれいに水洗いし、キッチンペーパーで水気をふき取りましょう。手に付着している常在菌が移らないよう、素手で触れないこともポイントです。
大葉の抗菌作用ともいえるペリルアルデヒドは裏側に多く含まれています。そのため、お弁当に使う際は、大葉の裏側が直接食材に触れるよう、おかずやごはんの上にのせるのがおすすめです。
なお、大葉を刻むとぺリルアルデヒドの抗菌作用は一時的に高まります。ただし時間の経過とともに効果は弱まるため、大葉はそのまま1枚の状態で使うとよいでしょう。
また大葉の殺菌効果に関係なく、お弁当は調理後3〜4時間以内に食べるのが基本です。持ち運びには保冷剤を使用し、とくに夏場は早めに食べましょう。
変色している大葉を入れても良い?
変色した大葉は、お弁当の食中毒を予防するのに適していません。
色が変わった大葉は、抗菌作用が低下している可能性があるからです。
変色の原因は、低温で保存することによる低温障害や、鮮度の低下、水に長時間浸たすことによるなどがあります。
低温障害で黒く変色した大葉は風味が落ちますが、黒い部分を除くと使用可能です。ただし、その場合、ぺリルアルデヒドの抗菌効果が低下していることを覚えておきましょう。
食中毒の予防を目的に大葉を使用する際は、変色していない鮮度の良いものを選びましょう。
仕切りとして使った大葉は食べても良い?
仕切りとしてお弁当に入れた大葉は、基本的に食べても問題はありません。
ただし、他の食材から水分や油分を吸収し、味や香りが変化している場合があります。
とくに揚げ物や味の濃いおかずの下に敷いた大葉は、油を吸っており、食感も変わります。気になる方は、取り除く前提で「仕切り専用」としてお使いください。
なお、仕切りとして使用した大葉は、生食扱いになるため、夏場や長時間保存は注意が必要です。常温で持ち運ばず、必ずクーラーボックスや保冷剤を使用しましょう。
夏場に心配な食材も大葉で腐りにくくなる?

夏場のお弁当作りには「危険な食材」は、生野菜や半熟卵、汁気の多いおかずなど多岐にわたります。「夏は詰めれるおかずがない!」なんて、悲鳴をあげる主婦の方も多いのではないでしょうか。
そこで、夏場のお弁当に心配とされる食材やおかずが、大葉を使うことで腐りにくくなるのかを、管理栄養士に聞きました。
ちくわ✕きゅうり
「ちくわ×きゅうり」は彩りがきれいですが、水分が多く衛生面からお弁当には不向きです。
ちくわは冷蔵保存が必須で、常温保存では食中毒菌が増殖しやすいため、一度火を通してから使うと安心です。
またきゅうりは水分が多いためお弁当には適していません。きゅうりの代わりに、大葉を巻けば抗菌効果が加わり、お弁当に適した一品になります。ただし、大葉は加熱で抗菌効果が低下するといわれているため、過度な期待は禁物です。
なお、加熱したちくわに、大葉を冷ましてから使用すると、抗菌効果は期待できますが、効果が持続するわけではありません。時間が経つことで、抗菌作用が低下する可能性があります。
ハム
ハムはそのままでも食べられる加工食品ですが、お弁当用にはレンジで加熱したりゆでたりしてから使うのがおすすめです。油分も飛んでさっぱり仕上がります。
加熱したハムに大葉を巻いたり和えたりすると、抗菌効果と香りが加わり、安心感が高まります。大葉の裏側とハムの広い部分を密着させるのが一番使いやすい方法です。
ハムの塩気や脂っぽさも和らげてくれるので、味のバランスも良くなるでしょう。なお、加熱したハムは十分に冷ましてから調理しましょう。

半熟NGの卵焼き
大葉の使用有無に限らず、卵は必ず中心部まで火を通すことが重要です。半熟の状態の卵はサルモネラ菌の増殖が懸念されますが、75℃で1分以上の加熱で死滅します。そのため、卵焼きやゆで卵などの卵料理は、中心部まで十分に火を通しましょう。
大葉を卵焼きの具材にしたり、冷ました卵焼きに巻いて使うと爽やかな味になります。ただし、大葉は加熱で抗菌効果が低下しやすくなりますので、過度な期待は禁物です。
より食中毒の予防を意識したい場合は、十分に加熱した卵焼きの下に、きれいに水洗いして水気を拭き取った大葉を、そのまま使用するとよいでしょう。冷めた卵焼きに大葉を巻くのも効果的です。
チーズ
チーズは栄養価が高く、お弁当にも人気な食材ですが、高温多湿では腐敗が進み、食中毒を起こす可能性があります。
ナチュラルチーズは、製造段階で加熱処理されておらず冷蔵保存が必要なため、基本的にお弁当向きではありません。使用する場合は、加熱調理するとよいでしょう。
一方、加熱処理をされているプロセスチーズは、保存性が高く、お弁当にも使用しやすいです。
加熱して使用するのが安心で、大葉とチーズを餃子の皮で巻く、刻んだ大葉とチーズをハンバーグの中に入れるなども、お弁当の一品に適しています。
プロセスチーズであれば、そのまま大葉を巻くのも効果がありますが、お弁当に入れて長時間保存することを考えると、加熱するのが安心だと考えます。食中毒予防を最優先するのなら、加熱後のチーズに生の状態の大葉を使うことが望ましいでしょう。

ごはんに大葉を使うと?
ペリアルデヒドが多く含まれる大葉の裏側を、直接ごはんに触れさせることで抗菌効果が期待できます。ごはんの間に敷き詰めたり、海苔の代わりにおにぎりに大葉を巻くのも効果的です。
さらに、梅干しを一緒に使用すると相乗効果が期待できます。梅干しには、クエン酸に含まれる殺菌作用があるため、大葉と組み合わせて使うことで、食中毒のリスクを軽減しやすくなるでしょう。
ただし、ごはんは必ず冷ましてから詰めるのは鉄則です。
大葉を使ったお弁当のおかずレシピ例
鯖のさっぱり大葉焼き
◆材料:1人分
・さば 半身1/2枚
・大葉 3枚
・梅干し 1/2個
・片栗粉 大さじ1/2
・油 大さじ1
<作り方>
1.さば半身を6等分に切り、キッチンペーパーで水気を切っておく。
2.梅干しは種を取って包丁で叩きペースト状にしておく。
3.大葉はよく洗ってキッチンペーパーで水気を切り、茎を切っておく。
4.〔1〕のさばの身の方に2を塗り、大葉で巻く。
5.〔4〕に片栗粉をつけて、油を入れて熱したフライパンで、弱火〜中火の火加減にして両面を焼いていく。
※大葉は、鯖を焼いた後に「仕上げ」として巻くのもおすすめです。
<ポイント>
・水気はしっかり切る:さばや大葉の水気をしっかり切っておくことで、水っぽくならずお弁当に入れてもべたっとなりにくいです。食中毒予防にもなります。
・大葉を巻くときは、裏面側にサバをおいて巻き、大葉の表面が表になるようにすると綺麗な緑色に仕上がります。
・大葉が焦げやすいので、表面を軽く中火で焼いて、蓋をして弱火で蒸し焼きにし、最後に蓋を外して中火で表面をカリッとさせると上手く焼き上がります。
・大葉を仕上げに巻くと、大葉の成分(ペリルアルデヒド)の働きがより期待できるでしょう。
まとめ

本記事では、大葉に含まれる抗菌、防腐効果について解説しました。
大葉は、香り成分の一種であるぺリルアルデヒドが含まれるため、食中毒の予防に効果が期待できます。
お弁当のみならず、夏場の作り置きにも大葉はおすすめです。
しかも、大葉にはアレルギー改善によい働きもあるという報告もあるようです。
大葉のさわやかな香りは食欲を刺激しながらも、食中毒の危険から身を守れるため、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
◇執筆:都築恵子(管理栄養士/アレルギー認定管理栄養士/フードスペシャリスト)
【都築恵子のプロフィール】急性期病院、行政、認定こども園での勤務経験を持ち、離乳食・食物アレルギー・食育を専門としています。日々の生活に役立つ「食の大切さ」をわかりやすく発信しています。
◇撮影協力・レシピ提供:木村奈々(管理栄養士)
◇記事の構成・編集:(salvia編集部)