※この記事は、元原稿とレシピを管理栄養士に提供してもらい作成されました。
<30秒でこの記事がわかる>
・「おでんに添える薬味としてわさびはあり?」→あり
・「おでんとわさびが合う根拠はある?」→ある
・「おでん✕わさび」の料理はおいしい?→おいしいので市販の商品やレシピもある
おでんにわさびが合う理由

おでんに合わせる薬味といえばからしが定番で、わさびを使う人は多くありません。しかし、おでんとわさびの組合せは意外にもよく合います。まずはその理由を調査していきます。
辛味成分が同じ
おでんによく合うからしとわさびには、共通の辛味成分が含まれています。あの鼻にツーンとくる刺激は、実はどちらも「アリルイソチオシアネート」という天然の辛味成分由来のものです。
からしの原料とわさびは仲間
からしは「からし菜」の種子を乾燥させたもので、からし菜はアブラナ科のアブラナ属。わさびはアブラナ科のワサビ属です。このアブラナ科に共通する辛味成分が先述した「アリルイソチオシアネート」で、大根や西洋わさびなどにも含まれています。
わさびは時間がたつとからしに近づく!?
わさびとからしの違いは、わさびに含まれる「グリーンノート」という香気成分の有無だけです。「つーん」とした清涼感のある香りが特徴で、からしには含まれません。
グリーンノートの香りはわさびをすりおろした後、5分経過すると徐々に薄れていきます。そのため空気にふれて放置したわさびは、からしと区別が付きにくいのです。目隠しをして食べ比べると判別が難しいといわれています。

画像:salvia writer(からしとわさび)
チューブわさびの原料に注目
手軽に使える「チューブわさび」には、原料に「わさび大根」が使用されている商品があります。わさび大根は、大根に似た香りとわさびに似た辛味があるアブラナ科の植物。大根はおでんの代表的な具材なので、具材と似た風味の薬味であれば、味の妨げとなることはないでしょう。
練り製品とわさびの相性が良い
おでんの具材に多い練り製品ですが、そもそも練り物とわさびは相性抜群です。焼いたさつまあげにわさびを添えたり、わさび醤油でちくわを炒めたりするおつまみもありますし、薄く切った板かまぼこにわさびをつけたものは「板わさ」としても親しまれています。このことからも、おでんとわさびが合うと考えられます。
わさび×おでんの商品がある
おでんつゆを使ったわさび風味のお茶漬けが市販されています。商品として存在するということは、「わさび✕おでん」の相性が良い証拠といえそうです。また余ったおでんつゆのアレンジ料理も流行しており、わさびの使われたお茶漬けやリゾットも人気があります。
このように、わさびとおでんが結びつく要因はたくさんあります。しかし、わさびとおでんの組み合わせは世間一般ではまだまだポピュラーではありません。
そこでおでんをよりおいしくする『わさびの使い方』や活用レシピを紹介していきます。
✔CHECK
おいしいはずの「わさび✕おでん」を
試さないのはもったいない!
「おでん✕からし」は当たり前ではない!

きっかけは食中毒の予防!?
「おでんに添える薬味=からし」が王道とされる現在。しかしおでんの歴史をさかのぼると、からしを添える理由は「味(おいしいから)」とは限らなかったようです。
江戸期の「上燗おでん」は「振り売り」といって、今でいう屋台やフードワゴンのような売り方をされていました。その際に殺菌作用のあるからしを食中毒の対策として使った説があります。
もしかしたら王道は「わさび」だったかも!?
からしが使われたきっかけが殺菌作用となると、同じ働きをもつわさびはなぜ起用されなかったのでしょうか?調べてみたところ「わさびが江戸時代に禁止されている」という気になる情報を見つけました。
どうやら美食家であった徳川家康がわさび(発祥の地:静岡県有東木より献上)の風味を気に入り、さらにわさびの葉の形が徳川家の家紋に似ていることもあり、栽培方法を門外不出に。静岡以外でわさびの栽培は禁止されていたのです。
当時のわさびは貴重なぜいたく品であったため、屋台のおでんに使われるとは考えがたいでしょう。
しかし、もし当時のわさびが大衆的な存在であったとしたら……、おでんに添える薬味はからしではなく、わさびが主流だったかもしれませんね。
薬味・調味料に地域性が出る
「おでん+からし」が普及した時期は定かではありませんが、現在はほとんどの地域で認知されています。しかしおでんが各地に広がりながら、地域性のある独自の薬味や調味料も発展しました。
愛知県や岐阜県では味噌で、特に愛知県では岡崎市発祥の八丁味噌を使った味噌ダレが親しまれています。さらに香川県では「からし味噌」、北海道や青森県など東北地方は「しょうが味噌」、神奈川県・小田原市は白味噌と梅を混ぜた「梅味噌」など、味噌を活用したつけダレが各地で人気となっています。
また佐賀県や福岡県、長崎県で好まれているのが「柚子胡椒」。九州発祥のおでん薬味ですが、今では地域問わず支持されています。
他にも兵庫県の「しょうが醤油」や静岡県の「出汁粉+青のり」、長野県の飯田おでんに添える醤油ベースの「ねぎダレ」など、その土地に身近な薬味や調味料がおでんに欠かせないものとなっています。
✔CHECK
わさびは…おでんに添える
薬味の王道になり損ねたのかも?
おでんをおいしくするわさびの使い方

画像:わさびをすりおろすにもコツがある(phto AC)
使用するわさびは、生のわさびをすりおろしても、チューブタイプのわさびでも大丈夫です。ただし生のものをすりおろすことで、よりわさびの風味を楽しめます。
わさびは直前にすりおろす
先述した通り、わさびのキリッとした辛味は時間が経つと消えてしまいます。よって、食事の直前にすりおろしてわさびの風味を楽しむがコツ。空気がふれないように容器に入れてふたをしておくと辛味が逃げにくくなりますが、食べる分だけをすりおろして使うのがベストです。
おろし金は目の細かさにこだわる
わさびはおろし金にこだわると辛味に違いがでます。できるだけ目の細かいおろし金で、やさしく丁寧におろすとわさびの風味や辛味が際立ちます。
相性の良い具材と出汁を把握する
おでんの具は種類が豊富ですが、わさびはわりとオールマイティーです。具材や出汁の種類など比較的どれも合わせやすいでしょう。より好相性のものは大根やこんにゃく、里芋、はんぺんなど。淡泊な味の具材につけると、わさび独特の風味が生きますよ。
出汁も同様であっさりとしたタイプがおすすめ。塩のみで調味する塩おでんや、昆布出汁をメインに薄く味付けする北海道風おでんなどは、わさびの存在感がほどよいアクセントになります。
レシピのアドバイス
わさびは汎用性が高いため、さまざまな使い方ができます。
・すりおろしわさびをそのままおでんにつけて味わう
・味噌やねりごまと混ぜたつけダレを作ってアレンジ
・取り分けたおでんの出汁にわさびを溶かす
・すりおろしたわさびに「きざみわさび」を混ぜて具材にのせる食べる
・五目巾着のタネにわさびを忍ばせるように加える
✔CHECK
わさびを使いこなして
おでんの新境地を開こう!
わさびを使ったおでんのリメイクレシピ
意外と相性がよいおでんとわさびの組合せ。よって、おでんが余ってしまったときは、わさびを使ったリメイク料理もおすすめです。
【おでんをリメイク 茶わん蒸しのわさび銀あんかけ】
レシピ提供・撮影:宮崎幸恵(管理栄養士)
<栄養成分(全量目安/1人分)>
項目 | 数値 |
|---|---|
エネルギー(カロリー) | 161kcal(1人分81kcal) |
たんぱく質 | 17.4g(1人分8.7g) |
脂質 | 5.6g(1人分2.8g) |
炭水化物 | 10.6g(1人分5.3g) |
食塩相当量 | 2.9g(1人分1.5g) |
◆材料:2人分 【所要時間:20分】
【茶わん蒸し】
・おでんのちくわ 1本
・おでんのこんにゃく 1切
・むきえび 1尾
・卵 1個
・おでんのつゆ 100cc
・出し汁 50cc
【銀あん】
【A】出し汁…100cc 醤油…小さじ1/2 みりん…小さじ1/2 塩…少々
【B】かたくり粉…小さじ1 水…小さじ1 わさび…少量
【トッピング】みつば は適量、好みでわさび
<作り方>
1.おでんのちくわとこんにゃくを一口大に切り、むきえびと一緒に耐熱容器に入れる。
2.ボウルに卵を割り入れ、おでんのつゆと出し汁を加えてよく混ぜる。
3.卵液を茶こしでこしながら、耐熱容器に注ぐ。
4.沸騰した蒸し器に〔3〕を入れ、強火で約5分、弱火で約10分蒸す。
5.鍋に【A】を入れて煮立ったら火を止め、【B】の水溶きかたくり粉でとろみをつけてわさび銀あんを作る。
6.蒸しあがった茶わん蒸しに銀あんをかけ、みつばとわさびをトッピングして完成。
<ポイント>
・蒸し器がない場合は、500Wの電子レンジで3分ほど加熱してください。
・おでんの具材は、さつま揚げや大根などでも美味しく出来上がります。
・わさびを銀あんにいれると風味がつきますが、辛味は無くなってしまいます。好みに合わせてトッピングのわさびで辛味を効かせるのがポイントです。
✔CHECK
おでんの出汁とわさびの上品さで
まさか「料亭の味」に!?
からし以外の薬味・調味料11選!
おでんをおいしくする薬味はさまざまです。そこで、1位~3位の人気のランキングの他、王道ではない薬味をご紹介。「使ってみたい!」「試してみたい!」と思えるものが見つかるかもしれませんよ。
1位:からし
断トツで支持されている薬味は「からし」です。からしの中でも、おでんによく使われるのは「和からし」。粉からしと練りからしの2種類があり、からし本来の辛味や風味を存分に味わうには粉からしがおすすめです。

画像:おでんとからし(phto AC)
2位:味噌 味噌だれ
基本の味噌だれの作り方は、味噌に砂糖やみりんなどの甘味や料理酒を加えます。味噌の深いコクと濃厚な香りが楽しめ、後を引く味わいです。地域や家庭によって、味噌の種類や材料が異なるのも味噌だれの特徴。東海地方では赤味噌を使い、香川県では白味噌をベースにからしを加えた「からし味噌」が主流です。

画像:味噌ダレのおでん(phto AC)
3位:柚子胡椒
おでんの薬味として人気上昇し、定番になりつつあるのが「柚子胡椒」です。柚子胡椒はからしやわさびと同じようにおでんの具材につけて使います。柚子の柑橘系の爽やかな風味と、唐辛子のキリっとした辛味で、おでんの味を引き立てます。

画像:おでんの薬味で柚子胡椒が人気上昇中(phto AC)
出汁粉+青のり
静岡県では、おでんに魚の出汁粉と青のりをふりかけて食べる風習があります。出汁粉のうま味と磯の風味で、いつもとはひと味違うおでんを楽しめます。

画像:出汁粉と青のりをふりかける静岡おでん(phto AC)
しょうが味噌
赤味噌にすりおろしたしょうがや酒、みりんを加えて作る「しょうが味噌」。しょうが味噌の発祥は青森県で、北海道や東北地方ではポピュラーなおでんのつけだれです。しょうがの爽やかな辛味がおいしく、しょうがに含まれる成分「ジンゲロール」の効果で体がポカポカと温まります。

画像:しょうが味噌でいただくおでん(phto AC)
しょうが醤油
濃口醤油にすりおろしたしょうがを入れたものが「しょうが醤油」です。しょうが醤油をおでんに添えるとさっぱりと食べられ、夏の冷やしおでんとも相性抜群です。おでん+しょうが醤油は、特に兵庫県で有名なおでんの食べ方で「姫路おでん」とも呼ばれています。

画像:しょうが醤油の姫路おでん(phto AC)
とろろ昆布
富山県ではおでんの具材に、とろろ昆布をトッピングする食べ方が定着しています。とろろ昆布のほのかな酸味でさっぱりと食べられ、とろりとした粘りのある食感も魅力。とろろ昆布の旨味がおでんの出汁にプラスされ、上品な味わいが堪能できます。

画像:とろろ昆布をのせたおでん(phto AC)
七味唐辛子
七味唐辛子は唐辛子や陳皮など7種類の原料を配合した香辛料です。ピリッとした辛味が、おでんの味を引き締めます。ダイレクトな強い刺激がほしい人は、唐辛子のみが原料の一味唐辛子がおすすめです。
マヨネーズ
和風のおでんに飽きた時は、マヨネーズをかけると簡単に洋風おでんに変えられます。こってり濃厚でまろやかなおでんの味わいは、子どもにも人気です。
コチュジャン
おでんにコチュジャンをプラスすると、韓国風に早変わり。おでんの具材につけてシンプルに食べるほか、煮汁に直接コチュジャンを入れてピリ辛スープにするのもおすすめです。
マスタード
洋風のおでんには、和からしよりもマスタードの方がよく合います。テビチ(豚足)やソース(豚のあばら肉)を具材とする沖縄おでんでは、マスタードを薬味にすることも多いようです。マスタードは、和からしよりも辛味が穏やかなので食べやすく、粒マスタードにするとプチプチした食感も楽しめます。
パルメザンチーズ
コンソメ味やトマトソースのおでんには、風味豊かなパルメザンチーズがピッタリです。パルメザンチーズ+味噌だれ、パルメザンチーズ+マスタードなど、他の調味料や香辛料と組み合わせる食べ方も人気です。
✔CHECK
「自分流」にベストマッチな
薬味を探してみよう!!
おでん&薬味の可能性は無限!

画像:おでん街(phto AC)
ひと言に「おでん」と言っても種類はいろいろ。具材はもちろん、出汁や薬味などバリエーションが自在で、個性豊かなあじわいが楽しめる料理です。
近年では、そんな「おでん」を町おこしに生かす動きも見られます。
<<三陸おでん>>
三陸おでんは2020年に新たなご当地グルメの定着化を目指し発足したもので、3つの定義を満たしていることが条件。宮城県石巻市から青森県八戸市までを結ぶ三陸沿岸の飲食店で提供されています。
・1種類以上の付けダレがついていること
・店ごとにオリジナル性があること
・三陸の食材を6割以上使用すること
出汁は定番の和風からイタリア風までさまざまで、つけダレも柚子からしや柚子味噌、粒マスタード、三杯酢など、からしのみを添える食べ方が王道といった風潮は薄れつつあります。
地域性の違いのほか、現在はおでんが和風以外の形にアレンジもされており、からしとは別の薬味の方が相性が良いと感じることもあるでしょう。
このように変幻自在のおでんですが、わさびはまだまだ発展途上といえそう。独自の楽しみ方として、ぜひおでんとわさびの組合せを楽しんでみてくださいね。
✔CHECK
おでんとわさびの
合わせ技で……1本!!
◇記事の構成・編集/(salvia編集部)
◇レシピ提供・元原稿・栄養価計算:宮崎幸恵(管理栄養士)
【宮崎幸恵のプロフィール】管理栄養士として、委託給食会社、老人福祉施設での栄養管理、特定保健指導などを経験。その他保有資格:食生活アドバイザー2級、介護支援専門員。