※この記事は、管理栄養士の元原稿と農業検査員の監修に基づいて作成されました。
<30秒でこの記事がわかる>
・生姜についた白いフワフワしたものはカビ?→カビです。
・「生姜に生えたカビは、カビの部分を取り除けば食べられる?」→廃棄するのがベストですが、食べている人は多い。状態により(異臭や溶けている状態)絶対に食べてはいけない。
・紅生姜にもカビは生える?→カビは生える(白い産膜酵母と見分けがつきにくい)。
・生姜は日持ちする?→そもそも保存に向いている植物。
生姜のカビは何色?見分け方も知ろう

画像:salvia writer/白いカビと黒い斑点のある生姜
白いカビ
上の画像を見ると、生姜の表面に白いふわふわしたものが発生しています。この胞子のような塊は白カビです。白カビは高温多湿の場所を好み、チーズやパンなどの乳製品や穀物にもよく見られます。
毒性は低いですが、カビの浸潤が進むと食品の内部まで菌が張るため、見た目だけで安全性を保証することは厳しいです。
黒いカビ
生姜に現れる黒い斑点やアザのようなものは黒カビです。カビが生える順番は、白、緑(青)、黒の順番なので、黒いカビが生えている生姜は、菌糸が全体に根を張っている可能性が高いでしょう。
緑のカビ
生姜の表面に、青色または緑色のカビが発生することがあります。これはみかんやパン、お餅などで見ることの多い「青カビ」です。青カビの見た目は、緑色(青色)の「灰」のようになるのが特徴です。
赤いカビ
赤いカビは畑などの土の中に多く潜み、麦やトウモロコシによく見られます。人体に悪影響を及ぼす「カビ毒」があるため注意が必用なものです。
しかし生姜は「アントシアニン」という成分が酸化することで赤またはピンクに変色することがあります。それは収穫したばかりの生姜によく見られ、色素反応による変色であれば食べても害はありません。
ピンク色に変色した生姜は、酸化による色素反応である可能性が高いとされています。しかし見分けられない場合や判断に自信がないときは、必ず廃棄処分してください。
おろし生姜にもカビがはえる
おろし生姜には特に白カビが発生しやすく、繁殖すると「白い綿」のようなものが表面に見えてきます。
瓶詰製品の場合、箸やスプーンなどがきっかけで雑菌や不純物が付着。水分を含んでいるためカビ菌の繁殖スピードは早いです。
チューブタイプのおろし生姜にも、白カビが発生する可能性はあります。防腐剤が添加されている商品は腐りにくいとされていますが、使用の目安は開封してから一か月ていどです。
またチューブタイプは外観から白カビを把握することが難しいため、酸っぱい香りや酸味を感じたら、カビの発生を疑いましょう。
紅生姜の「白い膜」はカビ?
紅生姜は保存が効くように加工された食品です。しかし一度開封して長期間保管していると「白い膜」のようなものが張ることがあります。
この膜が張る現象については二つの説があり、「カビ」と「産膜酵母」のどちらかによるものです。
産膜酵母とは、紅生姜が酸素にふれることで発生する酵母菌のことで、人体には無害です。しかしカビと産膜酵母を判断するのは素人では困難。白い膜が発生した場合はむりに食べずに廃棄処分することを推奨します。
生姜のカビは取りのぞけば食べられる?

画像:salvia writer/外側は傷んでいる(カビがある)生姜と↑その断面↓

画像:salvia writer/一部にやや変色を確認(傷みはじめている)・ニオイは「生姜」
食べられる場合は?
先述したように白カビは基本的に毒性が低いので、危険性は比較的高くありません。発生した量が少しであれば白カビの部分をしっかりと取り除き、さらに中に異臭や変色がなければ食べても問題ないといわれています。
ちなみに実際に多くの人が「食べても大丈夫だった」と言っていますが、それはあくまでも自己責任。一度カビが生えしまったら、内部まで菌糸が浸透している可能性があると理解したうえで判断しましょう。
特にアレルギー体質の方は廃棄するのがおすすめです。また生姜全体に白カビが生えている場合は捨てることを推奨します。
「カマンベールチーズは白カビだから安全ってこと?」
カマンベールチーズのように白カビで熟成するチーズがあるので、「白カビ=食べられる」と思っている人はいませんか?
しかし、それはチーズのカビが「毒性のないカビ」だから。しかもその『安全』は、専門知識や徹底された管理があってこそのものなのです。
白いカビが生えた生姜は、たとえ体に害がなかったとしても鮮度や味は落ちます。香りが弱くなったり味が苦くなったり、酸っぱくなることもありおいしくないことを承知しておきましょう。
※酸化による変色や紅生姜の産膜酵母だと【確定】していれば、食べても大丈夫です。ただし産膜酵母とカビは似ているため、素人では判断が難しいのでご注意ください。
こんな生姜は捨てる
生姜に生えるカビは基本的に白いカビがほとんどですが、他のカビが生えることもあります。特に黒いカビや赤いカビは危険なので、すぐに捨てましょう。
赤カビの生えた生姜
生姜に赤カビが生えていた場合は、人体に悪影響となるのですぐに捨てましょう。
赤カビは「カビ毒」が発生するので、食中毒症状を起こすことや免疫機能の低下、発ガン性も報告されているので危険です。
またカビ毒は熱に強いので、加熱しても完璧に取り除くことは不可能。「調理すれば大丈夫かも……」という考えはやめましょう。
黒いカビの生えた生姜
黒カビは毒性が強いので、たとえ少量でも絶対に食べないでください。
しかも黒カビは深く菌糸を張ります。表面だけ削りとっても菌糸は必ず中に残っているのです。
また「生姜に斑点がついているだけなら食べられる」という意見もありますが、素人が見分けることは非常に難しいでしょう。黒カビは腹痛を起こす危険性や発がん性のリスクもあるので「怪しい」と思ったら食べずに捨てましょう。
青いカビの生えた生姜
青カビを安易に考えている人もいるようですね。それはブルーチーズや、世界初の抗生物質である「ペニシリンの原料」というイメージがあるから。
しかし青カビの種類は300以上あり、食品の熟成に使用できる種類もあれば、人体に危険をおよぼす青カビもあります。後者の場合、カビ毒の発生や腎障害、カビアレルギーを引き起こすなどとても危険。よって青カビの生えた生姜は素手で触れないように注意し、速やかに処分しましょう。
・異臭や腐敗臭のする生姜
生姜が腐ると、特有のアンモニアのような酸っぱい臭いがすることが多いです。そのような異臭や腐敗臭がするものは絶対に食べてはいけません。
・溶けたりぬめりが出たりしている生姜
生姜が腐ると、まずカビが生えます。カビの種類は最初が白で、緑(青)、黒の順番。腐敗はカビの菌糸が浸潤しながら進行するので、ぬめりや溶けている状態のものは腐敗の後半です。すぐに捨てましょう。
生姜の保管方法

画像:凍らせた生姜ペースト(phto AC)
生姜は的確に保存すると1カ月以上日持ちます。ただし適当に保存すると水分が抜けて皮はしなしなに、果肉も硬くなりやすくなります。
また生姜は気温の高い場所に成育する植物なので寒いところは苦手ですし、90%以上は水分でできているので乾燥にも弱いです。よって保存の気温は15度以下にならないにするのがコツです。
野菜室で保存するときも、ひと手間を加えることが必要でしょう。
野菜室の保存なら短期間で使い切る
1週間以内に使い切るならそのまま冷蔵庫の野菜室に入れても大丈夫です。
乾燥させないように、キッチンペーパーや新聞紙などを湿らせて包めば10日くらいは日持ちします。くるんだペーパーや新聞紙を小まめにぬらしてあげると、2週間くらい保存できることもあります。
冷凍保存は1カ月
生姜は生の状態で冷凍保存も可能です。みじん切りや千切り、すりおろして小分けにしてラップをし、保存袋に入れて冷凍庫に入れます。丸ごと冷凍する場合は、皮をこそげ落としてからよく水気をふき、キッチンペーパーで包んで保存袋に入れます。
冷凍した生姜は解凍せずにそのまま使えますし、凍った状態のまますりおろすこともできます。
水に浸けての保存は手間がかかる
生姜は水に浸けて野菜室に入れる方法もあります。生姜の皮はむかずに良く洗い、必要に応じて小さくカット。清潔なタッパーやガラス瓶に水を入れて、生姜がかぶるほどの水で浸けます。
ただし水は毎日入れ替えをして、その都度容器も洗ってください。
生姜はそもそも保存に向いている植物です。焼酎に漬けたりあえて乾燥させたり、長期的な保存方法には諸説ありますが、保存期間については生姜そのものの「質」が大きく影響します。
保存方法を試行錯誤するよりも、高品質で新鮮な生姜を選び、おいしいうちに食べることを重視するとよいでしょう。
生姜の基礎知識

画像:先端がピンク色をした新生姜(phto AC)
最後に生姜の基本情報を整理しておきましょう。
基本的な成育条件
寒さに弱く10℃を下回ると発育不良になります。4月から5月にかけて15℃以上になってから、前年に収穫しておいた種生姜を植えます。乾燥にも弱いので、水分を毎日こまめに与えるようにします。
成分や栄養素と働き
生姜に含まれる辛み成分「ジンゲロール」は、血行をよくしたり体を温めたりする働きがあります。また生の生姜は殺菌力が強く、外部から侵入するウィルスを抑える力があるのです。免疫力を向上させるため、風邪の予防や引き始めにも期待大。加熱したり乾燥させたりすると、ショウガオールに変化して、内臓の動きを活発にして体も温まるため、冷え性の緩和に役立ちます。
おいしい(新鮮)生姜の選び方
<生姜を見極めるポイント>
○皮にシワや傷がなくハリとツヤがある
○全体がふっくらとして大ぶりのもの
○重みがあり実が締まっているもの
○切り口の断面を見たときにみずみずしいもの
✕皮に傷があると水分が飛んで乾燥が進んでいるのでダメ
✕小ぶりすぎると繊維質が多くゴリゴリしているかもしれない…
もったいないなら「生姜風呂」に!

画像:たくさんの生姜(phto AC)
生姜にカビが生えていたとき、「できれば食べたいけれど……」とちゅうちょする人も多いはず。
大量に生えている場合は迷わず捨てますが、白カビが少し生えただけの生姜ですと、悩みますよね?
・白カビを取り除けば大丈夫そう
・生姜の内側が変色もなく香りも爽やか
・でも白カビのリスクもちょっとだけ怖い
・だからといって捨てるのはもったいない……
そんなときは、カビの部分をきれいに取り除いて「生姜風呂」に活用する方法もあります。
やり方は簡単で、生姜の搾り汁やスライスを布袋に入れて湯船に浮かべるだけ。生姜風呂には、血行促進、冷え性や肩こりの緩和、免疫力強化などの働きがあるといわれています。
「この生姜は食べられそうだけど、ちょっと気が引ける……」そんなときは生姜風呂にしてみるのもよさそうですね。
◇記事の構成・編集/(salvia編集部)
◇元原稿:やなぎかおり(管理栄養士)
◇校正・監修:庄内太郎(農作物検査員/玄米・麦・大豆・ソバ)