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冷やご飯がダイエットに良いのは嘘じゃない!けど…「痩せる」は誤解

「冷やご飯で痩せるって嘘?本当?」という声があります。ウワサの正体は、お米を冷やすと増加する「レジスタントスターチ」の働きがダイエット向きという情報です。見解は様々なので、含有量や血糖値の変化などの実験や論文を調査。誤解と真実を検証します。

目次
冷やご飯がダイエットに良い理由
レジスタントスターチとは
血糖値とダイエットの関係
腸内で「短鎖脂肪酸」を生成するメリット
脂肪肝の予防と改善にも注目
レジスタントスターチ含有量の実験や分析の結果
宮城教育大学の論文
冷やご飯1膳あたりのレジスタントスターチの量
温かいご飯VS冷や飯で実験!血糖値の変動比較
温かいご飯は血糖値が上昇する
血糖値の数値に大差はないという考察も
糖尿病の入院食に冷や飯が出てこない理由
温め直してもOK!冷やご飯の作り方・取り入れ方
レジスタントスターチを増やすご飯の冷まし方
レジスタントスターチは再加熱しても減らない
何が正解?冷やご飯に関する誤解と真実
冷やご飯だけでは理想の摂取量を満たせない?
「冷やご飯ダイエット」だけに頼らない
ダイエットは食事全体のバランスで考えよう

※編集部によって構成された記事を、管理栄養士の検収を経て公開しています(一部の章は管理栄養士による執筆)。


冷やご飯がダイエットに良い理由

レジスタントスターチを含む冷やご飯

画像:冷やしたご飯(writer)

近年よく耳にする「冷やご飯がダイエットにメリットがある」という話ですが、これにはきちんとした理由があります。

そのカギを握るのが「レジスタントスターチ」という成分で、「体に吸収されにくいデンプン(難消化性でんぷん)」のことです。血糖値の上昇を抑える効果があるともいわれています。


レジスタントスターチとは

炊きたてのご飯は柔らかくておいしいですが、この時のデンプンは体内で消化吸収されやすい状態です。

ところが、ご飯を冷ますとデンプンの一部が固くなって、“体に吸収されにくい”形に変わります。それが「レジスタントスターチ」です。

デンプンの大部分は小腸で消化吸収されますが、レジスタントスターチは小腸内でほどんど消化吸収されず、大腸まで届き、食物繊維のような働きをしてくれます。


血糖値とダイエットの関係

食事をすると血糖値(血液中のブドウ糖)が上がりますが、急激に上昇すると「インスリン」というホルモンがたくさん出て、血糖値を下げようと働きます。

ブドウ糖は、まずグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられ、余った分は中性脂肪に変わり蓄えられます。また、インスリンは脂肪の分解を抑える働きがあるので、たくさん分泌されることで、肥満の原因になることがあります。

つまり、血糖値の上がり方がゆるやかな方が、太りにくいというわけです。

冷やご飯に含まれるレジスタントスターチは、血糖値の急上昇をおさえる働きがあるとされているため、「ダイエットに良い」と言われるようになったのです。


腸内で「短鎖脂肪酸」を生成するメリット

大腸に届いたレジスタントスターチは、善玉菌(とくにビフィズス菌など)のエサとなり、発酵によって「短鎖脂肪酸(SCFA)」という物質を作り出します。

短鎖脂肪酸は腸内フローラのバランスを改善し、全身の健康に影響を与えることがわかっています。

また短鎖脂肪酸はインスリンの分泌を促す「インクレチン」というホルモンの分泌を促進します。


脂肪肝の予防と改善にも注目

腸内環境が整うことで、肝臓の炎症や脂肪の蓄積が抑えられ、脂肪肝の改善にもつながるとされています。

短鎖脂肪酸の特に酪酸・酢酸・プロピオン酸は、腸内環境の改善を通じて脂肪肝の改善に寄与することが分かってきています。(参照元※1)

レジスタントスターチから作られる短鎖脂肪酸は、腸内環境を整えつつ肝臓の脂質代謝をサポートする働きがあり、近年では「腸から始まる脂肪肝ケア」として研究が進んでいます。


<レジスタントスターチのメリットまとめ>

効果

内容

食物繊維様の働き

腸内で消化吸収されず大腸まで届き、腸のぜん動運動を促進することで便通を改善する

満腹感の持続

消化がゆっくりなため、血糖値の急上昇を防ぎ、食後の満腹感を長く保ちやすい

コレステロール低下

一部の研究では、食物繊維のはたらきとして胆汁酸の再吸収を抑えて便として排出することで、新しく作られる胆汁酸の材料にコレステロールが使われ、コレステロール低下の可能性があるとされている

血糖値の安定

インスリンの働きをサポートし、糖代謝をスムーズにする

腸の炎症予防

酪酸は腸内の炎症を抑える力があるとされる

脂肪の蓄積抑制

一部の短鎖脂肪酸は脂肪細胞への脂肪蓄積を抑える作用も示唆されている

免疫力の向上

腸内環境が整うことで、免疫細胞の働きが正常化する

脂肪肝の改善

短鎖脂肪酸が肝臓の脂質代謝を調整し、脂肪の蓄積や炎症を抑えることが期待されている


ここからは、冷やご飯のレジスタントスターチの量や、冷やご飯を食べた後の血糖値の推移などを確認するために、専門家の意見を整理していきます。



レジスタントスターチ含有量の実験や分析の結果

小分けにしたお米

レジスタントスターチが体に良い働きをすることはわかりましたが、そもそも冷やご飯にレジスタントスターチが増えるという件は、事実なのでしょうか?


宮城教育大学の論文

宮城教育大学の学術雑誌(宮城教育大学紀要)の「炊飯時の加水量および米飯の保存温度と時間の違いによるレジスタントスターチ量の変化」(参照元※2)では、実際にレジスタントスターチの量を測定しています。

この研究では以下のような事実が示されました。

・ご飯を4度の冷蔵庫24時間保存した場合、炊き立てと比べてレジスタントスターチの量が増加する

・保存温度や時間によってレジスタントスターチの含有量に違いがある

炊きたて

室温放冷1時間

冷蔵6時間

冷蔵24時間

0.37%

0.58%

0.52%

0.68%


冷やご飯1膳あたりのレジスタントスターチの量

上記の研究内容や表を参考にすると、レジスタントスターチの測定方法は「試料100mgに対して」と記載されています。

したがって、ご飯1膳あたりのレジスタントスターチの量は以下のようになると予測できます。

<茶碗サイズ別に見たレジスタントスターチの量(推移)>


炊きたて

室温放冷1時間

冷蔵6時間

冷蔵24時間

小盛り(130g)

0.48g

0.75g

0.67g

0.88g

普通盛り(150g)

0.55g

0.87g

0.78g

1.02g

大きめ茶碗(170g)

0.62g

0.98g

0.88g

1.15g

大盛り(200~250g)

0.74~0.92g

1.16~1.45g

1.04~1.30g

1.36~1.70g

※上記は〔宮城教育大学の学術雑誌(宮城教育大学紀要)〕の資料を基に算出した数値です。


このように、レジスタントスターチの含有量は、「炊きたて」よりも、放冷したご飯の方が多いことがわかりました。

また含有量を基準に算出したレジスタントスターチの重量も、放冷したご飯の方が多いと予測されます。



温かいご飯VS冷や飯で実験!血糖値の変動比較

冷やご飯と温かいご飯

画像:冷やご飯と炊きたてご飯(writer)

温かいご飯は血糖値が上昇する

管理栄養士のYouTubeチャンネルで、「炊きたてご飯」「常温で冷ましたご飯」「冷凍後に再加熱したご飯」の3種類で、血糖値の変動比較がされていました。

動画によると、炊きたてのご飯を食べた後の血糖値上昇率が最も高いという結果でした。

冷ましたご飯や、冷凍後に温めなおしたご飯は、炊きたてご飯に比べると血糖値の上昇度合いは低かったようです。


血糖値の数値に大差はないという考察も

また、ある医師のYouTubeチャンネルでは、実際に炊きたてご飯と冷やご飯を食べた場合の血糖値の変化を測定しています。

結果は、炊きたてご飯と冷やご飯は、血糖値の上昇度合いにほとんど差がなかったそうです。

ただ、ここで使った冷やご飯が「冷蔵庫で冷やしておいた」とあり、どのタイミングで何時間冷やしたのかは不明です。

レジスタントスターチは、ご飯を冷ます時間や温度によって含有量が変わるので、知りたいところですが、含有量が劇的に多くなるわけではないのも確かでしょう。したがって、「血糖値はほとんど変わらなかった」という報告があってもおかしくないかもしれません。

<動画では詳しい内容や冷やご飯の上手な取り入れ方が紹介されています>

レジスタントスターチ【意味ない!?】冷やご飯を食べて検証



まとめると、レジスタントスターチと血糖値の関係について、「上昇しにくい」という意見もあれば「大差はない」との見方もあります。

先述したように、冷やご飯に含まれるレジスタントスターチは、炊きたての状態の倍近くになりますが、重量としての増加は劇的ではありません。そのため、検証結果にズレが生じることもありそうです。



糖尿病の入院食に冷や飯が出てこない理由

病院食のイメージ

画像:病院食のイメージ(photo AC)

「冷やご飯がダイエットや血糖値のコントロールに少しでも良いとされているのなら、糖尿病の人の入院食にも出るのでは?」と、思ったことはありませんか?

しかし、糖尿病の入院食として“冷たいご飯”が出ることは、ほとんどありません。

それには、きちんとした理由があります。


病院の食事は「栄養のバランス」がすべて

糖尿病の患者さんにとって、何より大事なのは「毎日の食事で血糖値を安定させること」です。

そのため、病院では患者さん一人ひとりの体調や血糖値の状態に合わせて、以下の内容をしっかりとコントロールしています。

・ごはんの量

・おかずの種類とバランス

・調理方法(揚げ物は控えるなど)

病院の食事は、患者さんの状態に合わせてエネルギー量・たんぱく質・糖質・脂質などを厳密に管理したものです。

たとえば「炊きたての白いごはん」でも、おかずに野菜たっぷりの煮物や、食物繊維の多い副菜を組み合わせることで、血糖値の上がり方をゆるやかにすることができます。

つまり、あえて冷やご飯にしなくても、工夫次第で血糖値をコントロールできるということですね。


「続けられる食事」を目指すから

入院中の食事は、単なる栄養補給ではなく、退院後の生活を見すえた“練習”の場でもあります。

病院では、「家に帰ってもムリなく続けられる食事」を覚えてもらうことを大切にしているため、普段の食卓に近い「温かいご飯」が基本になります。



温め直してもOK!冷やご飯の作り方・取り入れ方

冷やご飯をレンジで加熱

画像:冷やご飯を電子レンジで加熱する(writer)

レジスタントスターチは、炊きたてご飯を冷ますことで増え、ダイエットや健康維持に役立つとされています。

ここでは、効率的にレジスタントスターチを摂取できる調理方法を管理栄養士が解説。ご飯の冷まし方や再加熱の方法などを確認していきましょう。


レジスタントスターチを増やすご飯の冷まし方

・粗熱を取ってから冷蔵保存する。

・放冷や冷蔵保存の場合は菌の繁殖に注意する。

・冷凍保存がおすすめ。

炊きたてご飯は、粗熱を取ってから冷蔵保存するとレジスタントスターチを増やせます。

デンプンは、加熱後に冷却することでレジスタントスターチに変わり、特に冷蔵庫の温度帯で効率的に進むとされています。

ただし、ご飯を長く冷蔵保存する場合は、風味や食感の低下だけでなく、菌の増殖にも注意が必要です。
冷凍保存でもレジスタントスターチは増えるため、1日以上置く場合は冷凍保存がおすすめです。食中毒予防のため、ご飯の室温保存は避けましょう。

ご飯が炊き上がったら、速やかに小分けにして冷蔵や冷凍で保存しておくと、効果的にレジスタントスターチを増やせます。


レジスタントスターチは再加熱しても減らない

炊飯後に冷却して増えたレジスタントスターチは、電子レンジで再加熱してもほとんど減らないことが報告されています(参照元※3)
そのため、冷蔵や冷凍で保存したご飯は、安心して温め直して食べられます。

ただし、雑炊のように長時間煮込む料理では、レジスタントスターチが減る可能性があるため、加熱しすぎないよう注意しましょう。

お弁当のおにぎりやちらし寿司などは、冷却過程でレジスタントスターチの増加が期待できます。
また、再加熱後に熱いお湯や具材をかけて食べるお茶漬けやどんぶりでも、レジスタントスターチは保たれます。冷やご飯を使うのがポイントで、温めても減りません。

衛生面を考えると、冷やご飯に直接熱湯をかけてお茶漬けにする方法は、加熱が不十分な場合があります。まず電子レンジで温め直すのがおすすめです。

毎日の食事で、冷蔵・冷凍したご飯を電子レンジで温め直して食べれば、手軽にレジスタントスターチを摂取できます。


何が正解?冷やご飯に関する誤解と真実

ご飯を食べる女性

画像:白いご飯を食べる女性(photo AC)

専門家による分析や研究結果を見る限り、ご飯を冷やすことでレジスタントスターチは増えるのは確かのようです。

ただし、レジスタントスターチの量は、そこまで多くないと思われます。


冷やご飯だけでは理想の摂取量を満たせない?

アメリカ栄養学会(American Society for Nutrition, ASN)が発行している、栄養学分野で権威のある国際的な学術誌「The Journal of Nutrition(ザ・ジャーナル・オブ・ニュートリション)」(※4)によると、レジスタントスターチの理想的な摂取量は1日10~15gとのこと。

先述したとおり、普通盛り(150g)のご飯を24時間冷蔵しても、レジスタントスターチは約1.1g。3食すべて冷やご飯を食べても、1日のレジスタントスターチ摂取量を満たすのは厳しい計算となります。


このことから、冷やご飯だけでダイエット効果を実感するのは難しいのが現実でしょう。


「冷やご飯ダイエット」だけに頼らない

市販のダイエット書籍やメディア、SNSの中には、「冷やご飯を食べるだけで痩せる」という文字も見られます。

しかし、それは冷やご飯と一緒に発酵食品を摂ったり、食べる順番を注意したり、一汁三菜など、バランスの良い生活があっての相乗効果です。

「冷やご飯だけで痩せる」と勘違いしてしまうと、結果的に炭水化物の量が増えてしまいがち。冷やご飯はあくまでも、「太りにくくする手段の一つ」として捉えましょう。


ダイエットは食事全体のバランスで考えよう

大切なのは、「冷やご飯を食べたから痩せる」のではなく、「どういった食事内容や習慣を継続できるか」という視点です。

ダイエットは一つの食品だけで完結するものではありません。冷やご飯も“食べ方の工夫のひとつ”として、無理のない範囲で取り入れていく良いでしょう。


※本記事は他方面の研究結果を資料とし、執筆されたものです。


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◇執筆・編集・撮影:(salvia編集部)

◇監修・第5章「温め直してもOK!冷やご飯の作り方・取り入れ方」執筆

都築恵子(管理栄養士/アレルギー認定管理栄養士/フードスペシャリスト)

【都築恵子のプロフィール】急性期病院、行政、認定こども園での勤務経験を持ち、離乳食・食物アレルギー・食育を専門としています。日々の生活に役立つ「食の大切さ」をわかりやすく発信しています。



【参考資料・参照元】

※1)レジスタントスターチによる腸内環境の改善と脂肪肝抑制効果の検討

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21K15950/


※2)「炊飯時の加水量および米飯の保存温度と時間の違いによるレジスタントスターチ量の変化」宮城教育大学の学術雑誌(宮城教育大学紀要)


※3)The Journal of Nutrition(ザ・ジャーナル・オブ・ニュートリション)

https://academic.oup.com/jn


※4)The Journal of Nutrition(ザ・ジャーナル・オブ・ニュートリション)

https://academic.oup.com/jn


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